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私の前にある鍋とお釜と燃える火と / 十二月のうた 

 私の前にある鍋とお釜と燃える火と  石垣りん

それはながい間
私たち女のまえに
いつも置かれてあったもの、

自分の力にかなう
ほどよい大きさの鍋や
お米がぷつぷつとふくらんで
光り出すに都合のいい釜や
劫初(ごうしょ)からうけつがれた火のほてりの前には
母や、祖母や、またその母たちがいつも居た。

その人たちは
どれほどの愛や誠実の分量を
これらの器物にそそぎ入れたことだろう、
ある時はそれが赤いにんじんだったり
くろい昆布だったり
たたきつぶされた魚だったり

台所では
いつも正確に朝昼晩への用意がなされ
用意のまえにはいつも幾たりかの
あたたかい膝や手が並んでいた。

ああその並ぶべきいくたりかの人がなくて
どうして女がいそいそと炊事など
繰り返せたろう?
それはたゆみないいつくしみ
無意識なまでに日常化した奉仕の姿。

炊事が奇しくも分けられた
女の役目であったのは
不幸なこととは思われない、
そのために知識や、世間での地位が
たちおくれたとしても
おそくはない
私たちの前にあるものは
鍋とお釜と、燃える火と

それらなつかしい器物の前で
お芋や、肉を料理するように
深い思いをこめて
政治や経済や文学も勉強しよう、

それはおごりや栄達のためでなく
全部が
人間のために供せられるように

全部が愛情の対象あって励むように。

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 大晦日。早朝僕ちゃんはシドニーへ。大きなニュー・イヤーズ・イヴ・パーティー(2000人!)のバンド演奏の仕事。元旦の昼前には戻ってくる。

 義理父はクリスマスにはテーブルで食事が出来るまでになったが、とても静かだ。彼の大好きな緑茶をいつも淹れてあげる。昨日は私の作った炒飯を喜んで食べてくれた。しかし彼はもう大好きな本を読んだり、音楽を聴いたりすることはない。

 僕ちゃんがおせち料理を食べたいと言い出したので、今朝から圧力鍋フル回転で、黒豆、白花豆、煮しめ、昆布巻き、紫芋とりんごのきんとんを作った。恥ずかしながらおせちを作るのは初めてである。わかったことは、レイで(昨日)買ったオーガニックの黒豆は日本の黒大豆とはまるで違う豆であること。味はキドニービーンズ(うずら豆)に似ている。せっかく鉄釘まで入れて似たのになあ。でも美味しい。私が白花豆と言っているのはカネリニ・ビーンズ(訂正!カネロニじゃなかった!)でリマ・ビーンズではない。リマはカネリニより少し小ぶりだね。米飴で甘みをつけた。子供たちも美味しいって。大満足。

 昆布巻きは何としても作りたかった。何故ならうちには業務用出し昆布1kgがあるのだ。普通のスーパーで買えるNutrisoyオーガニック照り焼き豆腐(これ美味しいんだよね。醤油とみりんで味付けしてあって厚揚げ風。高価だが)とにんじんを芯にしてかんぴょうなしで巻いた。昆布から出る塩気が強いことを念頭にいれてなかったので、醤油を入れすぎてちょっとしょっぱくなってしまった。水で薄めて煮直した。たくさん作りすぎてしまった。来年の分まであるぞ(笑)。欲しい人おわけします。

 キッチンに蟻の行列。ようやく夏だ。

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 2週間前に収穫した裏庭育ちのバナナ。レイディーフィンガーという品種。小ぶりで酸味があって美味しい。何キロあるんだろう?量って置けばよかった。

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 デックの屋根に吊っておいた。うちの食べられるクリスマスツリー。

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少しずつ黄色くなってきた 9日後。
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 これが今日。もう完全に食べごろ。両隣におすそ分けしなくっちゃ。昨日今日とやっと夏らしくなった青空。

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バナナのダンス。

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 十二月のうた  茨木のり子

熊はもう眠りました
栗鼠もうつらうつら
土も樹木も大きな休息に入りました                                                  

ふっと
思い出したように
声のない 子守唄
それは粉雪 ぼたん雪                                                 

師も走る
などと言って
人間だけが息つくひまなく
動きまわり                                                  

忙しさとひきかえに
大切なものを
ぽとぽとと 落としてゆきます

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コメント

この詩、とてもいいですね。素敵です。
とくにこの部分。

”ああその並ぶべきいくたりかの人がなくて
どうして女がいそいそと炊事など
繰り返せたろう?
それはたゆみないいつくしみ
無意識なまでに日常化した奉仕の姿。”

実はわたし、自分の力にかなわない重さの圧力鍋を手に入れてしまったばかりに、鍋の重みを支えた手のひらが内出血してしまい、青あざをつくってしまった女です。だから冒頭の部分は自分を省みて笑ってしまいました。

ところで、蟻の行列、うちにも先週くらいからお目見えです。
窓の外にはぷっくり満腹のGeckoの姿も。。夏ですね。

種森さん

この詩を頭に浮かべながらだったから、大晦日に一日中お鍋の前にいても苦にならなかったのです。

いるいる、ぷっくり満腹のゲッコーたち(笑)。
薄透明のピンク色。かわいいお目目。かわいい手足。それでもって大食らい。

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