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エリンとカースティーを想う

 ブリスベンは数日前からぐんと気温が下がってきた。室内にいると一枚羽織りたくなる温度。お布団を冬用に替えた。写真は庭で宝石のように咲くブルー・ジンジャー。Dichorisandra thyrsiflora ブラジル原産だそう。

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 先日の車の事故の記事にひとつ書き忘れたことがあったのでちょっとだけ付け加えておこうと思う。事故の後、足をなくしたボクちゃんとピッピは事故車を運ぶトーイング(牽引)トラック(車とボートの二台必要だった)に、事故現場からビーンリーにあるトラック会社までとりあえず運んでもらったのだ。

 牽引の仕事は大きな事故からブレイクダウンにいたるまで毎日とても忙しいらしい。ボクちゃんは運転手と話をしていて、もしかしたら5年前の大きな事故について知っているだろうかと訊ねてみたのだ。ゴールドコースト方面に向かうフリーウェイで、大型トレーラーの運転ミスが原因で何台もの車が巻き込まれた凄まじい事故のことはニュースでも大きく扱われたので、地元の人なら記憶されてる人もいるかもしれない。何故その話をボクちゃんがしたかというと、実はその事故の唯一の犠牲者となったのが彼のお気に入りのジョージ叔父さん(父親の弟でバイク乗り)の孫のエリンだったからである。地元のコミュニティー・ペーパーのサイトに記事がまだ残されていた。

 運転手はその事故について知っているどころか、事故現場に行って作業をしたのだという。「あんなに酷い光景は今まで見た事がなかったよ」 そう彼は言ったそうだ。当時の新聞記事には、あれだけの惨事でたった一人の犠牲者で済んだのは運が良かった、と書いてあった。しかし、その犠牲者となったのが自分の娘、自分の姉妹、自分の孫だったら?遺族はいったいどうやってこの悲劇と向かい合ったらいいのだろう?

 ジョージ叔父さんには病気で亡くした前妻との間に一人娘(ボクちゃんのいとこ)がいる。彼女にはふたごの娘がいて、エリンはそのひとりだった。事故はホリデイでゴールドコーストに向かう途中の出来事だった。いったい彼女が何をしたのだというんだろう?もう少し違う時間に車を走らせていたら命を落とすことはなかったろうに・・・。彼女が18歳くらいの時に一度会ったことがある。乗馬が大好きな健康で幸せな美しい女の子だった。彼女のお葬式はとても悲しいもので、残された家族の深い悲しみを思うと慰める言葉が見つからなかった。

 ところが彼女の死から何ヶ月かして知った衝撃の事実があるのだ。それは、事故を起こした大型トレーラーの運転手がその時携帯電話を使用していたというのである。携帯電話の通話記録が残っていて後になって判明した。その通話相手は運転手の母親だったという。なんということ・・・。

 運転中に携帯電話を使用することはオーストラリアでは法律で禁じられている。それにも拘わらず、いまだに片手で携帯を抱えて会話しながらふらふら蛇行運転している車をよく見かける。酷い時になると走行しながらテキストを打っている呆れたドライヴァーもいる。私は滅多なことでは頭に血が上らないが、こういう人々の無責任さには怒りを隠すことが出来ない。運転には自信があるのかもしれない。でも今まで事故を起こしてこなかったのはただ運が良かっただけじゃないのかな?想像して欲しい。もし自分の大切な人が、そういった愚かなドラーヴァーに命を絶たれることがあったとしたら・・・。エリンはもう帰ってこない。

 ボクちゃんは翌日預けてあった荷物を引き取りに行った時、お世話になった牽引トラックの運転手さん達のためににビールの差し入れを持って行った。「彼らに対する気持ちがすごく変わったんだ」と言ってたけど、うんそうだね。またひとつ勉強したね。

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 最近エディー・リーダーつながりで、埃の溜まった音楽棚から抜き出して聴いていた愛すべきCDがある。リバティー・ホーセズ 「ジョイランド」 UKインディペンデント・レーベルのラフ・トレードから1992年にリリースされた。いつの年だったか憶えていないが、エディーがソロでの来日した時に彼女と一緒に演奏していて、オリジナルの曲もいくつか披露してくれた。ニール&カラム・マコール兄弟プラス2名のアコースティックなフォークロック・バンド。

 マコールってあのカースティー・マコールとかイワン・マコールと関係があるの?と思ったあなた、さすが音楽通!イワン・マコールとペギー・マコール(ピート・シーガーの異母兄妹)の息子達で、カースティーとは異母姉弟にあたる。カースティー・マコールについてはここここに書いたことがあった。素晴らしいアーティスト(シンガー・ソングライター)だったのに、12年前彼女も思いがけぬ海の事故で命を落としているのだ。そこまでは知っていたのだが、英語のウィキペディアに彼女の死について少し詳しく出ていたのを数日前に読んで驚いた。

 ホリデイ先のメキシコのカリブ海に浮かぶコズメル島の海でパートナー(スティーヴ・リリーホワイトではない)と彼女の息子と一緒にダイヴィングを楽しんでいたところに、進入禁止区域に暴走してきたモーターボートに轢かれて彼女は命を落としたのだ。そのモーターボートの持ち主がメキシコのスーパーマーケット経営者で億万長者であり、乗っていた何人かがその経営者の家族で、操縦していたのが会社の従業員だった。この事故の裁判は全く公正を欠くもので、カースティーの遺族はJustice For Kirsty campaign を立ち上げたそうだ。BBCは「誰がカースティーを殺したのか?」というドキュメンタリーを作り、2006年U2のボノはメキシコでのコンサートで、観衆の前で大切な友人だった彼女について話をしたという。その後ようやくメキシコ政府が動き、カースティーの命の尊厳が認められたことで2009年このキャンペーンに終止符が打たれた。。。。もしこれがカースティーじゃなく、マドンナやグロリア・エステファンだったらどう変わっていただろう?キューバ音楽をリスペクトしていたカースティーにとって、何とも皮肉な人生の終わり方だったのだろう。でも明るい彼女のことだからきっと天国で青い海を眺めながら「マイ・アフェア」を歌ってるね。元フェアグラウンド・アトラクションのマーク・E・ネヴィンとの共作。

 最後にリバティー・ホーセスの珠玉の歌「シャイン」をエリンに捧げたい。カースティー・マコールもバッキングヴォーカルで参加している。この曲が収められているアルバム「ジョイランド」は一曲目から胸がときめき、2曲目でもう虜にされ、3曲目も4曲目もまだこんな素敵な歌が続くの?と思わずにはいられないという、とんでもなく素晴らしい音楽センスを持った隠れた名盤。これ一枚で終わってしまったのが残念でならない。その後どうしているのか、また今度追跡してみるかな。

Liberty Horses  "Shine" from the Album "Joyland" (1992)

 Smile see how we shine...

 

 

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