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大地はまだ・・・

 2年前、誕生日に友人が贈ってくれた「わたしを束ねないで」が私の新川和江さんの詩との最初の出会いだった。

 茨木のり子や石垣りんと同じように優しく強さを持った言葉に感動し、もっと早く知っておけばよかったと思った。特に彼女の詩には母性愛を強く意識した作品が多い。でも詩の心を読むことが出来る時というのは、その詩を必要としている時なのだと思う。娘であり、妻であり、母親であり、一人の人間として生きることとはどういうことか。311以降、幾度となく彼女の詩集を開く。今がその時。そしておそらくこれからもずっと。

 

 テレヴィジョン

海の向こう
暗殺された大統領の葬列が
若い夫人の喪服のひだが 見えてしまうおそろしさ
からだに針を突き刺している

ヒンズー教の老人が
インスタント・コーヒーの製法が
栃ノ海の突き落としに土俵をとび出す柏戸が
南ベトナムのクーデターが
福井県に降る雪が
月のあばたが見えてしまう おそろしさ

あたたかな部屋
あかるい灯の下
遠いものの姿が かたちが
手にとるように見えるのに
見なければならないものの姿が かたちが
ますます見えなくなってしまう 
ことのおそろしさ

たとえば
すぐそばにいる あなたの心
こどもの明日
わたしの今日
窓のそとの闇

 

 

 

 きずだらけのこころは・・・・・・

きずだらけのこころはときどき
ひらがなのくさむらにかくします
しかくいもじはかどがあたつていたいのです
そのくさちは 
びるでぃんぐのまちからもとほく
こんくりいとのはしなどもかかってゐない
とがつためつきのひととゆきかふこともない
しずかなむらのはずれにあります
いちにちぢゆうそよかぜがふき
やはらかなひがさし
きこえるのは
のどかなうしのなきごゑくらゐなものです
やがてこころは
ひをすつてふくらんだ 
ごむまりのやうに
ひかつてはずんで
ころころまろびだしてきます
そのやうすはくさがみどりのほそいてで
こころをおしだしてくれたやうに
はたからはみえるはずです
そしてあるいは
ほんたうにさうかもしれないのです

 

 

 今朝の散歩道のワトル。ブリスベンの冬の空は絵の具をチューブから直接搾り出して塗りつぶしたように青い。元気なミツバチたちが忙しそうに花から花へと飛び回っていた。

Photo1579

 

 燈台

やさしい灯(ひ)がひとつあれば
海をつつむ
闇がどんなに大きくとも
船は迷わず
安らかに 沖を行くでしょう

やさしい灯がひとつあれば
ひるまは波立ち さわいでいた海も
お母さんに子守歌をうたってもらう子どものように
もう むずかりはしないでしょう
魚も 貝も
しずかに夢をみるでしょう
かもめも 千鳥も
岩かげで羽をたたむでしょう
やさしい灯が海にひとつあれば

 

 

 大地はまだ・・・

大地はまだ
まっかな林檎やきんいろの蜜柑を
こんなにもころころ
とり出して見せてくれるのだもの
その上に今生きている私たち
大地をまねて
新しいいのちを産み出さなければならない
花咲き 種子となるものたちを
すこやかに育てなければならない

空はまだ
鳥たちを自由にはばたかせ
窓という窓に陽光(ひかり)を届けてくれるのだもの
その下に今生きている私たち
空にならって
ひろい心を持たなければならない
暗い夜には月と星とをちりばめて
この世を明るくする
灯の点け方を覚えなければならない

海はまだ
たくさんの魚を泳がせ 貝を眠らせ
はかり知れない涙を混ぜ合わせて
だいじな塩をつくってくれているのだもの
海に囲まれ 今生きている私たち
海と同じく
いつも豊かに満ちていなければならない
母よ と呼んでくれる者たちのために
子守唄をうたいつづけていなければならない

 

 

 今日はりんごのケーキを焼いた。小さなりんごが5つ。砂糖をいつもの半分にして、サルタナを多めに入れた。リング型は久しぶり。30分で焼きあがるのはやっぱり魅力的。同じ分量でもローフ型は60分。味も食感も変わってくるのは面白い。新しいキッチンの報告はまた今度。

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コメント

すてきな詩ですね。

「空にならって ひろい心を持たなければならない」
「海と同じく いつも豊かに満ちていなければならない」

この二文が特に好きになりました。

ようこさんのブログを読み始めてから、
リングの焼き型を探しているのだけど、まだ出会いが無いです。
キッチン用品の専門店に行かないとダメかな。
焼き時間が短いのは良いですよね。
なので私は最近はマフィンとクッキーばかり焼いています。

元気なゾウさん
私がリング型を使い始めたのは大原照子さんの「1つのボウルでできるお菓子」を18年位前に手にしてからなんです。
http://urx.nu/1BkT (既に絶版になってるかなと思いきや、まだ人気の本のようで嬉しい)
日本で使ってたリング型は置いてきてしまって、こっちに来てすぐ(13年前)に何とかマートかなんとかWで「あったあった、これこれ」ってな感じで買ったっきり(ちょっと大きめですが)。
本当にこっちでは見つからないですね今。
上のリンクの頁に型も売ってるのを発見しました。
次回日本に行った時に買っておこうかなと思います。
マフィンにクッキー、美味しそう。

「1つのボウルでできるお菓子」! この本、私も持ってました(残念ながら今はどこにあるのかわからないのですが)。初めて買ったケーキの本かもしれない。

少し前に私もリングのケーキ型手に入れました。gabbaの近くのオプショップみつけて、安かった気がします。まだあまり活用していないのだけど、リング型は火が通りやすいのが魅力ですね。また、リング型を使うおいしいケーキレシピを伝授してください。

前に教えていただいたクランブルはずっと作ってます。

新川和江さんの詩、どれも味わい深い詩ですね。

そうそう、今回の帰国で日本の友達がyokoさんの友達を知っていることが判明しました。また、本の会で。

aromariposaさん
実は私もこれが初めてのケーキの本でした。
それまでは雑誌のお菓子の頁を参考に作ってたんですが、この本は面倒なことが嫌いな私向きでした。
それでもオリジナルのレシピ通りには全然作ってなくて(小麦粉を全粒粉と混ぜたり、バターを植物油にしたり、牛乳を豆乳に代えたり、砂糖を減らすとか)、いっぱい頁に書き込みがありますが、お菓子をいかに楽しく簡単に焼くことができるかを教えてくれた大切な本です。
彼女の「20分でできる一皿メニュー」という本では一人暮らしをしている時にお世話になって、いまだにうちは一皿ディナーが多いかな。
今調べたら彼女はもう80を超えたおばあちゃんなんですって。
わ、私の友達って一体誰だろう?
どきどき。

まりぽささんと、yokoさんが、「友達の友達の友達」ってことですね。
楽しすぎる。
寄り合いでそのお話しをする時、私にも声かけて~。

いつくらさん
今日はありがとう。
あれからお腹をすかせて帰ってくるやつらのために、今日もリング型でケーキ(米粉とタピオカ粉のチョコレート・ケーキ)を焼きました。
年を取ると人間って頑固になるのかと思ったら、どんどん角が取れてきているなあと自分を見て思います。
腹を立てたりするのって、意外と疲れるんだよね。
車の運転でいつも消耗してる私。
感謝する気持ちを忘れないでいようと思う。

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